それでは便潜血検査陽性の人で検査をするとどの位の割合で大腸癌が見つかるのでしょう。
大腸癌自体は報告にもよりますが便潜血陽性の人の3%程度にしか見つからないといわれています。それでは、便潜血陽性でも97%は大丈夫だから苦しそうな大腸内視鏡検査なんて受けなくてもと思う人もいることでしょう。
大腸癌の多くは腺腫という良性の大腸ポリープから大腸癌になると言われています。
実際に大腸ポリープを内視鏡で切除していけば大腸癌でなくなる確率が(0%にはならなくとも)少なくなると言われています。
この大腸腺腫と大腸癌をあわせると便潜血陽性の人の30%ぐらいに達します。そして、大腸ポリープは内視鏡で治療できて大腸癌の予防になるのです。
便潜血陽性でも半分弱の人は大腸内視鏡で異常を認めませんので、陽性だからといってすぐに悲観的になる必要はありません。
逆に便潜血陽性でも精密検査を受けないでいるのは非常に危険です。
重要なことは一度でも便潜血陽性になったら精密検査を受けることです。
内痔核(いぼ痔)を代表とする痔疾患や女性の場合、月経血が混ざっている場合には大腸ポリープや大腸癌がなくても便潜血陽性になることがあります。
これは便潜血が便に混ざっている血を検出する検査なので当然のことです。
しかし、便潜血陽性の原因を大腸内視鏡などの大腸精密検査を行わずにそれらの原因に決め付けてしまうことは非常に危険なことです。
本人が痔だと思っていても実は大腸癌だったということは良くあることです。
その証拠に痔の専門病院で内視鏡検査を行うと沢山の大腸癌や大腸ポリープが見つかるのです。
典型的な場合には出血の仕方は痔の場合と大腸癌の場合では違いますが、痔の出血がある人には大腸癌の症状の一つである出血といつもの出血との区別するのは非常に難しいことです。
便潜血検査の便を取るタイミングとしては痔の出血のないとき、生理でないときなどという注意書きが書かれていることがあります。
確かに、ほんとは大腸癌でないのに便潜血陽性になってしまう『偽陽性』を減らすためには重要なことなのですが、
痔の出血がある人の場合には一度は必ず大腸内視鏡検査を受けておくべきだと思います。
それで大腸ポリープもない場合には数年後の精密検査となることが多いと思いますが、その間の便潜血検査では痔の出血のないときに採取するというのは正しい方法だと思います。
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